ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「そういうのを日本ではお人好しって言うんだよな。鈴花らしい」

彼がクスッとしてエンジンを止めた。

(私らしいと感じるんだ)

鈴花が忘れてしまったふたりの思いでの中でも、お人好しぶりを発揮していたのだろうか。

「譲……」

そろそろいつ頃の出会いなのか教えてほしいと言おうとしたが、また寂しそうな顔をされそうな気がして聞けなかった。

「なに?」

「夕食、おでんにしない? 入口の旗に書いてある鍋料理だよ。シンプルな出汁で色んな具材を煮込むの。寒い日は特に美味しく感じるよ」

「いいな。おでんも初めて食べる。楽しみだ」

車を降り、店の入口に向けて並んで歩く。

手が触れ合うと握られて、頬を熱くして隣を見た。

「ダメ?」

スキンシップに鈴花が戸惑うたびに確認され、今まではダメと答えてきたが――。

「いいよ」

(私も手を繋ぎたい)

鼓動を二割増しで高めながら微笑むと、驚いたように眉を上げた彼が目を弓なりにした。

それを見て鈴花も嬉しくなり、おでんを食べる前から心が温かくなる気がした。



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