ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
心まで夫婦となりまして
時刻はまもなく零時になるところだ。

海崎は車通りのまばらな湖沿いの道に車を走らせている。

鈴花に会いたくなって東京から日帰りした翌週の今日も東京に行っていた。

あの日にやり終わらなかった仕事を片づけ、空席が出た最終便の飛行機に乗って帰ってきたというのに、到着ロビーで携帯に電源を入れると鈴花からこんなメッセージが届いていた。

【おつかれさま。今日の夜勤者が体調不良で急遽私がシフトに入ることになったんだ。無理して最終便に乗ってくれたのに、家にいなくてごめんね】

自宅に着いたら東京土産のワインとローストビーフで乾杯しようと思っていたから残念だ。

だが、落ち込んではいない。仕事なら仕方ないと思えるし、明日まで会えないわけでもない。

ウインカーを上げて左折し緩やかな坂を上り、『ザ・リンドン・ハートリー札幌』に着いた。

職員駐車場に止めて車を降りると、冷たい風が頬を撫でた。

スーツの上にコートを着ていても十一月の夜は寒い。

(オーナーになって正解だった。会いたい時に会える)

砂利を踏んで裏玄関へと向かいながら、その言い方は違うと思い直す。

(会いたい時という表現は適切じゃない。毎日二十四時間、片時も離れたくないんだから)

建物内に入りまずは執務室へ行った。

コートを脱いで身だしなみを軽く整え、フロント裏に繋がるドアを静かに開けた。

ロビーにお客様の姿はなく、鈴花はカウンターに向かい黙々とパソコン作業をしている。

「おつかれさま」

その背に声をかけると、ビクッと肩が震えた。

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