ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
驚いた顔の彼女が振り向き、海崎だとわかるとホッとしている様子だ。

「心臓が止まるかと思った」

「そんなに?」

「深夜に来ると思わなかったもの。夜勤って、ちょっと怖いし」

暗い場所が苦手で夜勤中はいつも緊張していると鈴花が言った。

「夜勤のシフトに入らなくていいようにしようか?」

心配して聞いたが、首を横に振られた。

「そこまでの怖がりじゃないから大丈夫。働きにくくなるから、特別扱いはやめてね」

職場では婚姻関係を秘密にするという約束は守るつもりだ。

(寂しいが、鈴花を困らせたくない)

清い交際から始めたいという願いも叶えているつもりでいる。

(距離を縮めようと急ぎすぎた自覚はある)

鈴花を誰にも渡したくないという思いが強すぎて、戸惑わせたのは申し訳ない。

だからこそ、彼女のペースに合わせてゆっくり心を掴もうとしているのだが――。

(正直に言うと、もっと触れ合いたい)

その衝動が理性を上回りそうになり、ぐっと堪えるというのを繰り返している。

深夜の誰もいないホテルのロビーというシチュエーションが悪いのか、それとも制服姿の鈴花の可愛らしさや豊満な体つきのせいなのか、今夜は理性が押され気味だ。

「譲?」

誰にも聞かれていないのに、囁くように名前を呼ばれた。

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