ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
妙に色っぽく聞こえて心臓が大きく波打ち、抑えがきかなくなった右手が彼女の柔らかな頬に触れて顎をすくった。

吸い寄せられるように顔を近づけたが、驚きに丸くなる目を見て我に返った。

「仕事中はダメだよな」

鈴花に嫌われたくないので、寸でのところで自制した。

もちろんダメだと言われるのを覚悟していたが、鈴花が返事をするまで二秒の間があった。

「あっ……うん」

こちらに背を向け、パソコン作業に戻ってしまった彼女の耳は赤い。

(聞かなければ、キスはオーケーだった?)

先週、スーパーマーケットの駐車場で手を繋いだ時も、ダメだと言われなかったのを思い出した。

(あの日から家でも職場でも、赤い顔をする鈴花をよく見る。これはいい兆候か?)

彼女の心境に大きな変化があったのかもしれないと期待すると、すぐに確かめたくなる。

パソコン画面には今月の客室予約状況が表示されている。

入力作業をしている鈴花を背中から抱きしめようとした時、フロントの電話が鳴った。

客室番号が表示されていて、受話器を取った鈴花が宿泊客になにか言われている様子だった。

「ご迷惑おかけしております。ただ今、確認に伺います」

受話器を置いた鈴花が眉尻を下げた。

「隣がうるさくて寝られないという電話だった。行ってくるね」

「待って。俺が行く」

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