ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
真紀の隣でランチバッグのファスナーを開け、自分で握ったおにぎりを取り出す。
「おにぎりだったら、私も一個で足りますよ?」
笑わせるつもりで見せたおにぎりは、コンビニサイズの五倍はある。
中の具は鮭、ツナマヨ、昆布の三種類で、普通のサイズをいくつも握るより楽だと思ったのだが、握りにくいし崩れてくるのでやめておけばよかったと後悔した努力の結晶だ。
真紀を絶句させた時、もうひとりの女性職員が加わった。
「お待たせ」
彼女も事務員で名前は夢美(ゆめみ)という。
細身で可愛らしい顔立ちなので実年齢より若く見えるが、鈴花と同じ二十七歳で幼馴染でもある。
「コンビニまで行ってたら遅くなっちゃった」
「今日はケーキ屋のアップルパイじゃないんだ」
「うん。苺の気分だったんだ。ほら見て。おいしそうでしょ?」
隣のベンチに座った夢美がウフッと笑ってレジ袋から出したものは、苺マシュマロと苺チョコと苺ミルクだった。
「その量で足りるの?」
鈴花は心配し、真紀は呆れたような目をしている。
「栄養バランス考えなよ」
「まぁ夢美だからいいか」という結論になるのはいつものことで、それぞれのランチを食べながら笑い合った。
(この三人でいると気が休まる)
お握りが半分まで減った時、真紀の視線が鈴花の左手に止まった。
「婚約指輪はいらない派?」