ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「マーボは、わからない」

するとひとりの女子が張り切って黒板に漢字を書いた。

「こういう字を書くの。これが麻っていう草で、こっちはお婆ちゃんという漢字だよ」

「夢美、すごーい。さすが漢字博士だね」

「クサとオバアサンとトーフのディッシュ……?」

怖い料理風景を頭の中に浮かべて思わず固まると、どっと笑いが起きた。

今までは笑われるのが恥ずかしくて、英語圏以外の国に行くのが嫌だった。

けれどもこの笑いはクラスの一員になれた証拠のような気がして嬉しくなり、一緒に歯を見せて肩を揺らした。

初めて食べた麻婆豆腐はとても美味しかった。

(今まで行った国でも勝手に壁を作って放っておいてくれだなんて、もったいなかったな。これから行く国では言葉を勉強して打ち解けられるように頑張ってみようかな)

そんな気持ちにさせてくれたクラスメイト、とりわけ輪の中に引き込んでくれた鈴花に感謝した。

けれども楽しいことばかりではなかった。

昼休みにトイレへ行くと、六年生の男子三人に囲まれて体育館裏に連れていかれた。

「お前、調子に乗ってるそうだな」

「髪の毛、根元が黒いじゃん。外国人ぶってかっこつけてんじゃねーよ」

胸倉を掴まれて締め上げられた。

(どこの国にも、こういうやつらっているんだな)

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