ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
鈴花と釣り合う男になって再会するために努力し、今の豊かさを手に入れたのだ。

(約束どころか、思い出ごと忘れられていたけどな……)

鈴花もきっと海崎を待ってくれているはずだと思っていたのに、婚約者までいたのには大きなショックを受けた。

必死で取り返したつもりだが、まだ心の傷は癒えていない。

(思い出を共有できたらいいんだが)

子供の頃の三か月間、こんなことがあったと話すのは簡単だが、それでも思い出してくれなかった時により大きなショックを受けそうな気がした。

それに加えて、自分で思い出してほしい理由はもうひとつある。

(思い出そうと考えている間は、俺のことで頭がいっぱいだということだろ)

その時間は鈴花の心を独占できるから、満たされた気分になれるのだ。

(だけどモヤモヤさせたままだと悪いな。ヒントくらいは出した方がいいか)

車を降り、ドアを開けて自宅に入った。

玄関に荷物を置いたままリビングのソファにドサッと腰を下ろす。

鈴花がこの家にいないと思うと、なにをする気にもなれない。

(俺を動かす原動力は鈴花だな。子供の頃に出会っていなかったら、どんな自分になっていたんだろうか)

転居を繰り返す暮らしで親密な交友関係を築けず、心を開けないことを親のせいにして自堕落な人生を歩んでいたかもしれない。

(俺の人生に鈴花は不可欠なんだ。早く思いきり抱きしめたい)

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