ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「私はそうだけど……譲は仕事ないの?」

黙ったのはどういうわけだろうか。

「ホテルの経営状況は毎日顔を出さなくてもパソコンで管理できるようにしてある。他の事業の仕事はあるけど、夜中にやるから今はいい」

どうやら自分の仕事を鈴花のシフトに合わせているようだ。

(前オーナーは年に数回しか来なかったのに、譲はホテルに来すぎなんだよね。減らしてもいいのかも)

怜奈は相変わらずなので、まとわりつかれるのも嫌だろう。

いい香りがしてお腹が鳴りそうになった。

ソファに並んで座り、ワインで乾杯する。

料理は彼が取り分けてくれた。

「ありがとう。いただきます。んっ、ローストビーフおいしい。しっとりしてるのにジューシーで。ガーリックシュリンプも。こっちは譲が作ったの?」

「ああ」

「すごい。天才。おいしすぎて口の中が幸せ!」

着替えている時に痩せなければと思った豆腐のように柔らかい決意は、ご馳走の前であえなく崩れ去る。

「鈴花は可愛いな。食べている姿を見るのが俺の幸せだ」

彼は優雅な仕草でワイングラスを傾けながら、満ち足りた笑みを浮かべている。

(そんなに見つめないで。譲を好きな気持ちをゆっくり育てようと思っていたのに、ドキドキが止まらなくて困る)

「それじゃ、遠慮なくお代わりしちゃおうかな」

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