ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
照れ隠しで言ったのに、彼がローストビーフをフォークにのせて鈴花の口元に持ってきた。

「どうぞ」

(それ、譲のフォーク)

ますます鼓動が速まり、戸惑いながら口を開けた。

顔が熱くなりどんな表情をしていいのかわからない。

アーモンドアイが嬉しそうに弧を描く。

口に入れてもらったローストビーフをしっかり味わいたいが、恥ずかしくてそれどころではない。

たまらずそっぽを向くと、男らしい指先が顎にかかり顔の向きを戻された。

たちまち心臓が暴れ出す。

(キスしようとしてる? どうしよう。嫌じゃないけど、今はダメ。歯磨きしてないもの)

昨夜もホテルのフロントで顎をすくわれたが、仕事中だからと彼の方が引いてくれた。

今はなんの遠慮も出し惜しみもなく、色気を放出させてきれいな顔をゆっくりと近づけてくる。

「じょ、譲」

「昨日、家でならいいって言ったよな?」

(言った気もするけど、どうしよう。ええと――)

彼の肩を掴んで押し返し、立ち上がった。

「散歩に行こう。たくさん食べたから、カロリー消費しないと」

「逃げるの?」

「そ、そうじゃないよ。いったん落ち着きたくて。歯磨きもしたいし……」

顔が熱すぎて火を噴きそうだ。

「気遣いが足りなくてすまない。いいよ、散歩に行こう」

クスッと余裕のある笑い方をして、色気を消した彼が立ち上がった。

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