ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
(気を使わせちゃった。ごめん……)

急いで支度をして外出する。

街路樹はすっかり葉を落とし、いつ初雪が降ってもおかしくない。

コートの襟を引き合わせると、首にふわっと海崎のマフラーが巻かれた。

「譲が寒いからいいよ」

「鈴花が寒そうにしているのを見たくないんだ」

「でも――」

「それなら、こうしよう」

手を取られ、彼の黒いコートの腕にかけられた。

「ね? 寄り添って歩けばふたりとも寒くない」

(ね?って……。甘えた感じを出さないで。かっこよくて凛々しくてその上、可愛さまで足されたら心臓がいくつあっても足りないよ)

動悸が引かなくても、離れて歩こうとは言わなかった。

(恥ずかしいけど、嬉しいから……)

平日の昼過ぎでも民家が建ち並んだこの辺りは静かで通行人がいない。

どこに行こうという目的はなくつぎはぎだらけのアスファルトの細道を歩いていくと、神社が見えた。

石階段に小さな社と鳥居があって新年の初詣と秋祭りの時だけ賑わう。

「秋に豊穣祭があるんだよ。今年は仕事で見に行けなかったね。譲にお祭体験してもらいたかったんだけど」

大きな街の祭りに比べたら物足りないかもしれないが、少ないながら屋台も出るし子供会のお神輿は微笑ましい。

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