ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「いや、いいよ。続きは帰って話そう」

彼が視線を向けた先には校庭に出てきた子供たちの姿があった。

これから体育の授業なのだろう。

真冬でも校庭で雪中サッカーやスキーの練習をするので、雪国の子供たちはこのくらいの寒さは平気だ。

自宅に帰り、彼の部屋で温かいコーヒーを淹れた。

出かける前のご馳走は、夕食にまた食べることにして冷蔵庫にしまう。

ソファに並んで座り、コーヒーを飲みながらも続きが聞きたくてそわそわする。

「ねぇ、早く」

「ん? キスしていいのか?」

返答に困る冗談はやめてほしい。

熱くなる頬に添えられた彼の手を外し、真顔で迫る。

「違うよ。話の続き。本当に結婚の約束をしたの? まだ十歳なのに」

「本当だよ。この町を発つ前日、クラスの寄せ書きを鈴花が届けに来てくれただろ。あの時だ」

色紙にクラスメイト全員と担任の先生、校長先生にメッセージを書いてもらい、それを鈴花が代表して彼の自宅まで届けた記憶はおぼろげに残っていた。

寂しそうな顔の彼が今にも泣きそうな目をしていたから励ました気もするが、なにを言ったのかまでは覚えていない。

「うーん……」

首をゆっくり傾げると、海崎が嘆息して教えてくれる。

「鈴花と離れたくないと俺が言ったら、君はこんな返事をした」

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