ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「近いからいい。雪も降ってないし大丈夫だよ」

これから夢美と真紀と飲みに行く。

ふたりは仕事終わりに職場から二十分歩いて向かうのに、自分だけ高級車で送ってもらうのは気が引けた。

それに鈴花が帰宅した時、海崎は書斎にこもって仕事をしていた様子だったので忙しいはずだ。

「譲はお仕事があるんでしょ? いつも私のスケジュールに合わせてくれなくていいんだよ。行ってくるね」

「わかった。楽しんできて」

彼が両腕を広げるから、鼓動を高めつつ軽くハグをして背を向けた。

しかし一歩を踏み出せない。

コートがなにかに引っかかっているような感覚があって顔だけ振り向くと、彼の手がコートをつまんでいた。

「ごめん、無意識に掴んでた」

快く送り出してくれていると思ったが、寂しいのかもしれない。

(譲はたまに可愛いんだよ)

胸がキュンと音を立て、照れながら言う。

「お店のラストオーダーが二十一時半なんだ。二十二時頃には帰るから待っててね」

田舎の飲食店は閉店時間がやたらと早い。

「店を出る時連絡してくれ」

「うん。わかった」

駅前通りを歩いて目的地に着いた。

海崎と再会した日に元彼といたあの喫茶店だ。

夜はマスターの気まぐれでバーとして開店している日もあり、真紀が電話で確認してくれていた。

約束の数分前に入ると、夢美と真紀が先に丸テーブルに着いていた。

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