ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
後ろに振り返った隆矢が、ソファに座っている六十歳くらいの男女を呼び寄せた。

(もしかして隆矢のご両親……?)

「あなたが鈴花さんね? はじめまして。隆矢の母です」

「父です」

隆矢がこの町に来て間もない頃、仕事を辞めたが実家は頼れないという話をしていたのを思い出した。

そのくらいで辞めるなと叱責されたそうで、厳しい親で苦手だと言っていた。

品定めするような視線を感じて戸惑う。

元彼の両親にどんな挨拶をすればいいのかわからない。

「お世話になっております……」

「お仕事中にごめんなさいね」

「い、いえ」

手元のパソコンで急いで確認すると、熊尾の名で二名の予約が入っている。

どうやら息子に会いに来た両親はこのホテルに泊まるようだ。

(無理やり協力させる気?)

東京に連れ戻されたくないから、鈴花を結婚前提の交際相手だと言ったのだろう。

「イメージとは違ったが、真面目でよさそうなお嬢さんじゃないか」

彼の父親がじろじろと見てくる。

「あなた、その言い方は失礼よ。鈴花さん、お気を悪くしないでね。とりあえずチェックインをお願いできる? 改めてのご挨拶は鈴花さんの仕事が終わってからにしましょう」

隆矢とは別れていると言いたいが、カウンター前で揉めるのは避けたい。

非難の目を隆矢に向けると視線を逸らされた。

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