ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
休憩時間は残り二十分。彼のフェミニンな優しさを心配しながら、巨大おにぎりを食べ終えた。



昼休みが終わり、鈴花たちはそれぞれ持ち場に戻る。

「杏野さん、六階までの清掃が終わっています。ご確認お願いします」

声をかけてきたのは清掃担当のパートタイムスタッフだ。

今日の宿泊客のチェックインは十五時からだが、受け入れ準備は前のお客様がチェックアウトしたあとすぐに始まっている。

清掃スタッフとのミーティングや指示出しはフロント業務の範疇で、掃除が終わった各部屋を回って不備がないかもこれからチェックする。

「エグゼクティブルームに今日の予約はないんですけど、しばらく稼働していないから軽く清掃お願いします」

「わかりました」

同僚のフロントスタッフに断ってからカウンターを離れようとすると、バックヤードから支配人が出てきた。

名前は神山(かみやま)と言い、黒服とオールバックがよく似合う五十代のダンディな男性だ。

このホテルの現場での運営を総括しているのが神山だが、その上に経営者がいる。

「杏野さん、今、手が空いてる?」

「お部屋のチェックに行こうとしていました。急ぎではないので大丈夫です」

「新オーナーが来られて挨拶したいと仰っている。フロントからもひとり、会議室まで来てほしいんだ」

「わかりました」

この時間、ロビーを利用しているお客様の姿は少ない。

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