ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「譲!?」

スーツ姿の広い背中が目の前にある。

助けにきてくれてホッとしたが、同時に隆矢との関係を疑われないかと焦った。

「譲、これにはわけが――」

「大丈夫、わかってる。ラウンジカフェのスタッフから事情を聞いた。勝手に婚約者として両親に紹介されたんだろ? 仕事中なら鈴花が否定できないと思っての姑息なやり方だ」

(あっ、そうか)

カウンターでなにがあったのかを怜奈が海崎に話したようだ。

鈴花の擁護ではなく、ライバルをひとり消すつもりで言ったのだと思うが。

ホッとして彼の背に額をつけた。

海崎を前にすれば、隆矢だってもう無理な頼みはしてこないだろう。

そう思ったのだが、悪びれるどころか言い返してくる。

「邪魔すんなよ。元はと言えばあんたのせいだぞ。あんたが現れなければ俺たちはうまくいってたのに。鈴花を返せ」

隆矢が海崎の胸倉を掴むのが見えて慌てた。

「やめて! 譲のせいじゃないでしょ。隆矢の態度がひどすぎて気持ちが冷めたんだよ。オープンマリッジなんて言われて私が傷つかないと思った?」

海崎のスーツを掴む手が力なく外れた。

「それは……ごめん。でも俺、マジで反省して鈴花とやり直そうと思ってるんだ」

「鈴花は俺の妻だ。渡す気はないが、話くらいは聞こう。ついてきな」

海崎が顎をしゃくった先にはホテルがある。

(えっ、ホテル内で話すの?)

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