ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
他のスタッフの目を気にして海崎の腕を掴む。

「俺が決着をつけるから、鈴花は無理に同席しなくていいよ」

お言葉に甘えようかと迷ったが、首を横に振った。

「私も一緒に話したい」

隆矢と上手に別れられなかった責任は自分にあるのに、海崎に尻拭いをさせられない。

「わかった」

三人で正面玄関から入ると、ベルボーイが戸惑った顔をした。

フロントスタッフもカウンターで首をかしげている。

(そういう反応になると思ってたけど……)

支配人の神山を呼んだ海崎が、ロビーの端でなにかを小声で話している。

神山が頷いてバックヤードに引き上げ、海崎は先頭に立ってエレベーターへと向かう。

「あいにく応接室も会議室も使用中だ。葵の間で話そう」

(使っていい部屋を神山さんに確認していたんだ)

葵の間は宴会用の和室だ。

ザ・リンドン・ハートリーの系列ホテルは客室がすべて洋室なので、和の雰囲気を求める海外からの団体客にはこの宴会場が喜ばれている。

葵の間がある二階で降りるのかと思いきや、なぜかエレベーターは最上階まで上昇した。

「譲、葵の間を使うんだよね?」

「その前に、この町を上から眺めようと思ってね」

エレベーターを降りるとラウンジバーの入口がある。

営業開始は十九時からなので今は誰もいない。

マスターキーで解錠して入り、三人で窓辺に立った。

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