ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
その嘘がバレて厳しく叱責されると、パワハラだと騒いだ挙句に心を病んだと被害者ぶって辞表を叩きつけたらしい。

父親の知人の会社だったので話は両親に筒抜けで、責められるのが嫌でなにもかも放り出してこの町に逃げてきたというのが真相だという。

「えっ……。私には虐められて辞めたって言ってなかった?」

それも嘘だったと知って愕然とした。

憔悴していた隆矢に同情し、住む場所や仕事を紹介して身の回りの世話もしてあげたのに裏切られた気分だ。

(まさか、今の職場に迷惑かけてないよね?)

隆矢の勤務先には鈴花の知り合いが長く勤めていて、求人があると聞いて紹介してもらった。

もし勤務態度が悪かったら知人の顔に泥を塗ることになると青ざめた。

その時、携帯電話の着信音が鳴り響いた。隆矢の携帯だ。

「職場からだ」

父親の叱責から逃げる口実ができたとばかりに、隆矢が携帯電話を耳に当てた。

「熊尾です。おつかれさまです――えっ、社長ですか!?」

電話の相手は勤務先の社長のようで、用件に心当たりがないのか驚いている様子だ。

「はい、その件は――。いえ、ちゃんと報告したつもりだったんですけど――ま、待ってください。辞めてもらう方向でって、そこまでのことですか!?」

どうやら辞表を勧められるほどのなにかをやらかしたようだ。

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