ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
殴られた頬を押さえた隆矢が畳に尻もちをついたまま、力なく反論する。

「そんな……ちょっと、さぼったくらいで……」

「鈴花さん、鈴花さんのご主人、うちの愚息が大変ご迷惑をおかけしました。こいつは引きずってでも連れて帰ります。仰る通り、性根を叩き直さなければならない。逃げられると困るので同じ部屋に宿泊したいのですが、一名追加でお願いできますか?」

「かしこまりました……」

ベッドが三つの部屋に移動できるかフロントに確認する必要があり、海崎の方を見ると頷いてくれた。

葵の間を出てフロントへと向かう鈴花のうしろでは、隆矢の情けない泣き声が聞こえる。

(連れ戻されるのは可哀想だと思ってたけど、もう同情できない)

お人好しを発動せずにすんだという意味では、両親に引き合わされてよかった気がした。



時刻は二十一時。先ほど海崎と一緒に自宅に帰ってきたところだ。

(すごく疲れた……)

フロントに部屋変更と一名追加の連絡をして事情を申し送りし、隆矢の勤務先の社長と会って話していたため帰宅が遅くなった。

簡単にうどんを作って食べ、やっとホッとひと息ついた。

ダイニングテーブルで頬杖をついていると、海崎がふたり分のどんぶりを片づけてくれる。

「ありがとう。隆矢から助けてくれたのもありがとう」

「夫として当然のことをしたまでだ。鈴花の半径三千キロ圏内にいられるのは許せない」

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