ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「日本列島越えちゃうよ」

冗談だと思って笑ったが、嫉妬深い海崎なら国外追放もやりかねない気がした。

布巾を手に彼がダイニングテーブルに戻ってきた。

「私が拭く」

「いい。疲れてるだろ。お風呂に入って休みな」

「ありがとう。今日は本当に色々とごめんね」

眠気で動けなくなる前にと立ち上がり、着替えを手にバスルームへいく。

リフォームしたこの部屋のお風呂はきれいで広い。

シャワーで汗を流してから湯船につかり、足をのばした。

(そうだ。この前、夢美にもらった入浴剤を入れよう)

『旦那様と一緒に使って』とひやかされたことは頭の隅に寄せ、バスボムと書かれたピンク色の球状の入浴剤をひとつ浴槽に落とした。

「わっ、泡になるんだ。すごい」

シュワシュワと音を立て、バスボムが溶けていく。

シャワーをかけると勢いよく泡立って水面をたちまち覆うのが面白い。

「ちょっと泡立てすぎたかも」

淡いピンク色の泡に夢中になっていたその時――。

「生クリーム? 鈴花がスイーツになったみたいだな」

いつの間にか裸の海崎が入ってきていて驚いた。

ドアの開閉音に気づかなかったのは、シャワーの音のせいだろう。

シャワーを止めようと浮かせていた腰を慌てて湯船に戻し、鼻まで泡に埋もれて抗議する。

「なんで入ってくるの?」

「一緒に入りたかったからだよ」

< 169 / 242 >

この作品をシェア

pagetop