ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
真紀まで狭い町だからどうせいつかはバレるしそろそろ公表したらと言いだしたが、決心はつかない。

(バレたら仕方ないと諦めるけど、わざわざ自分から言って働きにくくしなくてもいいよね)

「わかりました」

用紙を手に廊下に出て、斜め向かいにあるオーナー室のドアをノックした。

「はい」と落ち着いた声がする。

「杏野です。アンケート結果が出ましたのでお持ちしました」

「すず――どうぞ、入って」

(今、鈴花と言いかけたよね?)

声も急に嬉しそうな弾んだ調子になり、狭い町だからという理由ではなく彼の言動で夫婦関係がバレそうな不安を覚えた。

(譲は私のこと好きすぎるから、どうしても態度に出ちゃうんだよ)

心の中でぼやいて自分で照れる。

(調子にのってるわけじゃないよ。毎日何度も『愛してる』って言われているのは事実だし……)

「失礼します」

熱い顔でドアを開けて中に入ると、執務椅子から立ち上がった海崎が笑顔で近づいてくる。

「ちょうど鈴花が足りなくてチャージしに行こうと思っていたところなんだ。鈴花から来てくれて嬉しいよ。俺たち、心が通じ合っているんだな」

(真紀さんに頼まれたからだって言いにくい。めちゃめちゃ嬉しそうだもの)

抱きしめられると鼓動が温かく弾む。

触れ合うごとに夫婦なんだという実感が増していく。

ずっとこうしていたいが、仕事中なので彼の胸を押した。

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