ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
フロントに戻って四十分ほどすると、チェックインのお客様が続々と到着してロビーが混雑し始める。

フロントは早番と遅番のスタッフで回している。

「ご朝食は二階のレストランにて朝七時から十時半までご用意しております。他にご質問はございますか?」

「明日、湖の遊覧船に乗りたいんだけど、どうしたらいい?」

「誠に残念ですが、遊覧船は冬期間は運航しておりません。雪上乗馬体験やスノーモービルなどのアクティビティはご案内できますが、いかがでしょう?」

「乗馬か。いいな。やってみたかったんだ。お願いするよ」

スムーズにチェックインが進んでいる。

隣に立っている後輩の加藤も、今はひとりでこなせるようになっていて頼もしい。

(もう少しで退勤時間。譲とスーパーに寄って帰ろう。今日の夕食はなににしようかな?)

「お待たせしました。次のお客様、こちらへお願いします」

ふたりでの楽しい夕食を想像しながら、鈴花の前に立ったお客様に笑顔を向けた。

中折れハットをかぶり高級感のある黒いロングコートを着た大柄な外国人男性だ。

五十半ばくらいの年齢に見え、今日の予約客リストの備考欄に書かれていた情報を思い出した。

(たぶんこの方がデュボワ様ね。フランスの国会議員の)

英語で予約の名前を尋ねると、やはりそうだった。

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