ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
『申し訳ございません』と英語で謝罪し、フランス語で書かれた館内案内の冊子を手渡した。

マニュアル通りの対応をしたつもりが、なぜかさらに怒られる。

(『私は国会議員だぞ!』みたいな感じのお叱りに聞こえるけど……)

早口のフランス語でまくしたてられても、わからなくて困惑するばかりだ。

近くのソファに座っている娘に視線を向けた。

(すみません。こちらへ来てお父様を宥めていただけませんか?)

そういう気持ちを視線に込めたのだが、目が合ったのに逸らされた。

さらには面倒くさそうな顔で携帯をいじりだし、助けてくれそうにない。

(どうしよう。神山さんはお休みでいないし、譲にお願いするしかない)

オーナーの仕事ではないが、フランス語を話せるスタッフは他にいなかった。

『少々お待ちください』と英語で伝え、焦りながら受話器を取った直後に後ろから肩を叩かれる。

「なにかあった?」

(譲が来てくれた。以心伝心みたい!)

一瞬で安堵感が広がる。

事情を説明すると対応を代わってくれた。

鈴花は横にずれて日本人客の対応をしながら、海崎の流暢なフランス語に聞きほれる。

今はデュボワの眉間の皺も解け、海崎と穏やかに話していた。

するとそこに娘のアルマが歩み寄った。

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