ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
目の前のお客様に笑顔で対応しつつも、耳は隣の会話に向いている。

ビジネススマイルを浮かべた海崎が彼女に英語で答える。

『パンフレットで観光のご案内はできますが、同行サービスはいたしておりません。ご了承ください。なお、ご宿泊のお日にちに変更がございましたら、フロントまで早めにお知らせいただけると非常に助かります。それ
ではお部屋にご案内いたします』

父親の方にもフランス語で短くなにかを伝えた彼が、ベルボーイにカードキーを渡した。

「エグゼクティブスイートのお客様です。ご案内して」

エレベーター前でデュボワ父娘を見送って、海崎がカウンターに戻ってきた。

ちょうどチェックインの波が途切れ、あとは遅番のスタッフに任せて鈴花は下がる。

鈴花の横に来た海崎に耳打ちされる。

「さきほどのお客様、対応に注意が必要なようだ」

スムーズにコミュニケーションが取れないとプライドが傷ついて激高するタイプのようなので、翻訳アプリを入れたタブレットを持って対応するようにという指示を受けた。

「他のスタッフにも伝えてほしい。それでも対応に困ったら、俺に連絡くれていいから」

「わかりました」

パソコンに指示を入力した上で、事務室からレストランやラウンジ、売店などデュボワ父娘の利用が考えられる部門に電話連絡もした。

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