ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
『オーナーじゃないとダメよ。父はフランス語が通じないとすぐ不機嫌になるんですもの』

『翻訳タブレットで対応いたしますが』

『まどろっこしくて嫌よ。早くオーナーを呼んでちょうだい。父を怒らせると面倒よ?』

含みのある笑みを向けられて困っていると、バックヤードに繋がる後ろのドアが開いた気配がした。

隣に立ったのは海崎だ。

「じょ――海崎オーナー。あの」

「困っているようだね。対応を代わろう」

アルマがきれいなロングヘアを片手で後ろに払い、色っぽく微笑した。

好意を隠そうとしない彼女にハラハラしてしまう。

本当は対応を代わりたくなかったが、仕方なく一歩下がった。

流暢なフランス語で三人で会話されると、鈴花は蚊帳の外にいる気分だ。

「杏野さん、お客様のお部屋でルームサービスのメニューの相談をしてくるよ」

「フロントにもルームサービスのメニュー表はありますが……」

「部屋の仕様で聞きたいこともあるそうだ」

(四日も使っている部屋なのに?)

海崎がデュボワ父娘と一緒にエレベーターに乗って行ってしまい、落ち着かない気分の鈴花だけが残された。

(追いかけたいけど、フロントを無人にできないし)

アルマとふたりきりではないのだから大丈夫だと心に言い聞かせ、落ち着こうとする。

そこに先に昼休憩に入っていた同じ早番の加藤が戻ってきた。

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