ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「戻りました。杏野さん、休憩どうぞ。なにかやっておくことありますか?」

「ないよ。いつも通りの業務をお願いね」

加藤にフロントを任せ、バックヤードに出る。

ロッカーからお弁当を持ってきて休憩室のドアを開けた。

休憩室は事務室の近くにあり、中は十畳ほどだ。

絨毯敷で八人で囲める座卓がふたつあり、靴を脱いで上がる。

厨房や清掃などそれぞれの部署にも休憩室があり、スタッフが休憩に入る時間もバラバラなので混んでいるのを見たことがない。

今日も夢美と真紀、他に事務員の男性がひとりいるだけだ。

「おつかれさまです」

男性事務員に挨拶してから、夢美と真紀の向かいに座る。

「鈴花、おつかれ。うちらもう食べ終わったよ。今日の休憩、十二時半からだったんだね」

「そうなんです。時間が過ぎてもチェックアウトされないお客様がいて、対応していたら時間がなくなったんで三十分ずらしました」

真紀の質問に答えながらお弁当箱の蓋を開けると、夢美に「足りるの?」と聞かれた。

二段のお弁当箱には海崎が朝食に作ってくれた色とりどりのサラダとカットフルーツ、鈴花が作った卵焼きやウインナーなどの定番の惣菜が詰められている。その他に小さめのお握りがひとつだけだ。

「本当だ。鈴花にしては少ないね」

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