ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
『あら、フロントスタッフがなんの用? 今、取り込み中だからあとにして』

迷惑顔をされ、反射的に頭を下げてしまう。

『申し訳ございません』

(ん? なんで謝ってるのよ。迷惑してるのはこっちなのに)

さらには海崎にまで廊下に出るよう言われて不安に襲われたが、彼の爪先も廊下に向いていた。

『もちろん俺も出る。仕事に戻ろう』

『は、はい』

『あなたはダメよ。まだ話が終わってないわ。いい加減に連絡先くらい教えて』

廊下に出た海崎の片腕にアルマが両腕を回して自分の方に引き寄せようとする。

彼女が着ている赤いワンピースは襟ぐりが広く、胸の谷間が見えている。

大きな胸が彼の腕に当たりそうになっていて、鈴花は慌てた。

(やめてよ!)

ホテルマンになって初めてお客様に怒りそうになったが、先に海崎が言う。

『お客様、おやめください。身体的な接触や私的な連絡先を聞き出そうとする行為は、迷惑行為にあたります』

冷静で丁寧な口調だが言っている内容は厳しく、彼女の手も振り払っていた。

アルマが信じられないと言いたげに目を見開いている。

『迷惑行為だなんて失礼よ。身体的接触はダメですって? あなただって彼女に触れているじゃない。どう違うのよ』

海崎の右腕は、守るように鈴花の肩を抱いている。

「譲……」

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