ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
親しげにするのはマズイと思い離れようとしたが、彼の手に力が込められ放してくれなかった。

大丈夫だというように微笑んでくれた彼が、アルマに厳しい視線を戻した。

『なにも問題ありません。鈴花は私の妻ですので』

(言っちゃった!)

一瞬焦ったが、アルマは従業員ではないので知られても困らない。

(そっか。最初から既婚者だって言っておけば狙われなかったのかも)

これで諦めてくれると思ったが、アルマが声を上げて笑った。

『彼女があなたの妻? 日本人は意外とユーモアのセンスがあるのね』

釣り合わないという意味だろう。

(まぁ仕方ないか。こんな私が妻だなんて、たしかに信じられないよね)

自分でもお似合いだとは思っていないので、ショックは小さい。

それについては怒る気にならなかったが、海崎の方は違うらしい。

『なにがおかしいのですか?』

その声は低く、アルマに向ける目は怒りに満ちている。

気圧されたように頭を引いた彼女だったが、すぐに言い返してくる。

『なによ。見え透いた嘘をつく方が悪いんじゃない』

『本当のことです』

海崎がスーツのジャケットの内ポケットからマリッジリングを取り出した。

(持ち歩いてたんだ)

家の中でははめているが、職場では約束を守って外してくれている。

それでも肌身離さず持っていたかったようで、こんな状況なのに嬉しくて胸が熱くなる。

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