ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
『これが証拠です』

彼が指輪の内側をアルマに見せた。

そこには婚姻届を提出した日付とふたりの名前を刻印している。

確認したアルマが眉根を寄せた。

『どうして指にはめていないの?』

『それはこちらの事情ですので』

『本当に妻なの?』

まだ疑いが残る目で見られ、鈴花は襟元に手を入れた。

ブラウスとスカーフの下に隠してたネックレスを引っ張り出すと、そこに提げられているのはペンダントトップではなくお揃いのマリッジリングだ。

もちろん鈴花の指輪にも同じ刻印がある。

職場では夫婦関係を隠したいが、彼の妻だと感じていたい。

海崎の気持ちに追いついた時にそう思うようになり、ネックレスチェーンに通して身につけていたのだ。

「鈴花!」

歓喜した彼が抱きしめようとするから、慌てて日本語で止めた。

「譲、お客様の前だから我慢してね」

「そうだった。ふたりの世界にトリップしそうになって、すまない」

「ううん、本当は私も、譲の胸に飛び込みたい気分だよ……」

本音を口にして恥ずかしくなり、熱い顔をうつむけた。

するとアルマが怒り出す。

『日本語でイチャイチャと不愉快だわ。独身だと勘違いさせたこともね。私のフォロワーが二百万人以上だってわかってる? このままで済むと思うなら大間違いよ』

(えっ、なにかする気……?)

SNSでホテルの悪評を広めて報復する気だろうか。

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