ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
焦って隣を見ると、海崎も眉間に皺を寄せていた。

『それは当ホテルに対する脅しでしょうか? 脅迫であれば、然るべき機関に相談しなければなりませんが』

彼がそう言った直後、こちらに駆け寄る足音が聞こえた。

レジ袋を提げたデュボワが、慌てた様子で娘と海崎の間に入った。

なにがあったのかと問いかけているようだが、フランス語なので鈴花にはわからない。

答えるアルマと海崎もフランス語で話していた。

鈴花は一歩下がってその様子を見ている。

(あれ? そのレジ袋、コンビニじゃなくうちのホテルの売店のものだ)

どうやら売店でも肉まんが売っていることに気づいて、コンビニまで行かなかったようだ。

(どうりで戻るのが早いと思った)

こちらにとってそれがいいことなのかはまだわからない。

娘と一緒になって脅してくる可能性もある。

ハラハラして見守る中、父親が声を大きくして叱った相手は娘だった。

アルマが反論しようとしても許さず、無理やり頭を下げさせている。

(どう考えてもアルマさんが横暴だもの。わかってくれてよかった)

海崎が『然るべき機関に相談』などと言ったから、国会議員の立場として騒動が大きくなるのを避けようとしただけかもしれないが。

デュボワが娘の腕を掴んで部屋に入っていく。

ドアが閉まると廊下は静かになったが、部屋の中から口論する声が微かに漏れていた。

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