ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「大丈夫かな……」

「親子喧嘩は勝手にやってもらおう。鈴花は客室点検に回っていたのか? 巻き込んですまなかった」

「違うの。客室点検は口実で、実は譲が――」

アルマに迫られていそうな気がしてじっとしていられなかったと打ち明けようとしたが、彼の人差し指が唇にあたり言わせてもらえなかった。

アーモンドアイがほんのりと色気をにじませて弧を描く。

「続きは自宅で聞かせて。でないと可愛い嫉妬が嬉しくて、ここで鈴花を食べてしまいそうだ」

どうやら打ち明けなくても気持ちは伝わっているようだ。

常日頃、甘い言葉を惜しみなくかけてくれる彼だけど、職場で言われると背徳感からかいつもより心臓が大きく波打った。

体の芯もうずき出し、困ってしまう。

(そんなこと言われたら、私も今すぐ触れ合いたくなる……)

「今日は格別に帰るのが楽しみだ。明日は夜勤?」

「う、うん」

「朝まで寝かせてあげられないと思うが、それなら大丈夫か」

耳にわざと口を寄せて囁く声は少し意地悪だ。

鈴花が火を噴きそうなほど顔を熱くしている様子を満足げに見た彼は、クスッと笑って廊下を歩き出した。

「午後の仕事も頑張って」

スタイル抜群の後姿が廊下の角を曲がって見えなくなると、鈴花もアメニティを積んだ台車を押して歩き出す。

(頑張りたいけど、気もそぞろになりそうだよ)

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