ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「大丈夫。三人で片づければすぐに――って、あれ?」

気づくと怜奈がいなかった。

急いで仕事に戻ったなら仕方ないが、片づけたくなかっただけのような気がした。

夢美とふたりでプロジェクターやスクリーン、机と椅子を片づける。

「ねぇ鈴花、検証役を引き受けたって聞いたよ。大丈夫? お化け屋敷で泣いちゃうくらい、昔から怖がりなのに」

怖いものなしみたいな小学生時代を過ごしたが、高校生が文化祭で手作りしたお化け屋敷に入った時、夢美に手を引いてもらわなければ先に進めなかった。

外に出た途端に号泣した幼い日の思い出がある。

「う、うん。大丈夫だよ。ひとりじゃないし……」

「オーナーは助けに来れる距離じゃないから、なにかあったら私に電話して。すぐに駆けつけるよ」

頼もしいことを言ってくれた夢美が、重ねた椅子を持ち上げようとして重さによろけた。

それを支えて、夢美の手から椅子を軽々と受け取る。

「ありがとう夢美。頼りにしてる」

「こっちの台詞だよ」

幼馴染と笑い合うと、検証の夜への不安が半減するような心地がした。



それから数日が過ぎ、今日はクリスマスイブだ。

怜奈と都合がなかなか合わず、検証の日が今夜になってしまった。

(こんな問題が起きなければ、今頃は譲とお泊りデートを楽しんでいたはずなのに)

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