ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
そう思うと、デラックスルームで怜奈とふたりきりなのが残念に感じてしまう。

広々としたワンルームのこの部屋にはダブルベッドがふたつ置かれ、湖が見える窓際には四人掛けのソファセットがある。

ダイニングスペースとミニキッチンもあって、インテリアは高級感のあるエレガントなヨーロッパスタイルだ。

時刻は二十二時になるところだった。

まだ寝支度はしていないが、ベッドに寝そべって携帯を見ている怜奈はくつろいだ様子だ。

というより、会議室で見せたやる気をすっかり失っている。

海崎がまだ帰国していないと聞いて、様子を見にくるという期待が消えたためだろう。

鈴花はソファやダイニングの椅子に座ったりウロウロしたりと、この部屋に入った二時間前からずっと落ち着かない。

(オバケなんているはずないとわかってるのに……)

「杏野さん」と声をかけられただけで肩をビクつかせた。

「冷蔵庫から飲みもの取って」

「はい。なにがいいですか?」

「なんでもいい」

スタンダードルームより大きめの立派な冷蔵庫を開けた。

ペットボトルや缶の飲料が色々とあって、検証中は自由に飲んでいいと許可されている。

怜奈のそばへ行って緑茶のペットボトルを渡したが、半笑いで突き返される。

「お茶だけは気分じゃないんだよね」

(それなら最初から言ってくれたらいいのに)

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