ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
それくらいで腹は立たないが、別の意味で怜奈の態度が気になった。

「怜奈さん、あの」

「なに?」

どうやら携帯で漫画を読んでいるらしく、「ウケる!」と枕を叩いて笑っている。

(まるで緊張感がないけど、大丈夫なのかな)

「カメラ回っているのは気にならないんですか?」

ふたつのベッドの正面と部屋全体を映す入口側の二か所に、三脚に立てたビデオカメラを設置している。

「どうせ編集するんでしょ」

「編集前のものを、確認のためにオーナーが見るかもしれませんよ?」

指摘した途端に怜奈が慌てたように跳ね起きた。

「私、冷蔵庫から飲みもの取ってくるね。杏野さんはなにがいい?」

(今さらごまかしても、遅いと思うけど……)

「私はこの緑茶をいただきます」

少し呆れて怜奈から離れ、ソファに座った。

(もう少ししたら、着替えずに服のままベッドに入ろう)

ホテルのルームウェアも用意されているが、カメラの前で着たくない。

(寝てしまえば怜奈さんと話さなくていいし、怖くもないよね。きっとすぐに朝になるよ)

帰りたい気持ちを宥めていると寝る時間になった。

ベッドに入って消灯したが、怜奈が寝かせてくれない。

「杏野さん、電気つけたままにしない?」

「ビデオカメラは暗視モードにしましたよ。映ってるので大丈夫です」

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