ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
スタッフが泊って検証する話はしたが、鈴花がやるとは言わなかった。

怖がりなのを知っている彼が心配するに決まっているからだ。

(それに今まさにデュボワさん父娘と交渉中かもしれないし。譲はホテルを守るために闘ってくれてる。私もこのくらい、ひとりで頑張らないと!)

携帯電話をサイドテーブルに戻し、電気を消してベッドに入った。

(寝てしまえば大丈夫。すぐ朝に――今の音、なに!?)

微かにゴボゴボと水音がした気がして背筋が寒くなった。

(あっ、そうか。露天風呂の音だ)

デラックスルームには全室、温泉の露天風呂がついている。

冬期間はガラス戸を閉めているので露天ではなくなるが、天気がよければ雪が降る湖を眺めながら入浴できる。

ひとつ難点を上げると寒いので、配管が凍らないように使用していない時も自動でお湯を流す仕組みになっている。ゴボゴボという水音はそれだろう。

理由がわかって安心したのも束の間で、今度は洗面所の方からバサッと音がした。

(なんの音!?)

怖くても確かめないままでは寝られない。

頭から足首まで毛布に包まり、恐る恐る洗面所のドアを開けた。

するとフェイスタオルが一枚、落ちていた。

(あっ、なんだ。タオル掛けから外れただけか)

最後に使ったのは怜奈だ。

手を拭いて適当にかけ直したタオルが徐々にずれて落下したと思われた。

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