ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
(ほらね、オバケの正体なんてこんなものだよ)

強がりを言ったが、冷や汗をかいている。

眠れる気がしなくて朝まで緊張と恐怖の中にいなければならないのかと思うと、毛布を握りしめている手が震えてきた。

(怖くない。オバケなんているわけない)

自分に言い聞かせて洗面所を出ると――。

突然インターホンが鳴り、肩をビクつかせた。

(こんな夜に誰……?)

不安の中にいたため嫌な妄想が膨らむ。

(開けたら誰もいないとか、モニター画面にオバケが映ってるとか……怖いっ、やめて!)

足がすくんで動けない。

小刻みに震えながらわずか二メートルほど先にあるドアを見ていた。

インターホンに応じないとノックまでされて、心の中で悲鳴を上げる。

すると、ドアの向こうから呼びかけられる。

「鈴花」

愛しいその声は海崎のものでハッとした。

「譲……?」

「そうだよ。鍵を開けて」

「うん!」

安堵と喜びが一気に押し寄せて泣きそうになる。

急いで鍵を開けようとして、ふと疑問に思う。

(どうして譲がいるの?)

毎日電話しているが、帰国が決まった話は聞いていない。

デュボワへの交渉が思ったより難航しているらしく、もう少し時間がかかりそうだと言われたのが昨日だ。

(譲のふりをした、オバケだったりして……)

恐怖で後ずさると、毛布を踏んで尻もちをついた。

「きゃっ!」

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