ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
(イギリス育ちなんだよね。向こうの常識? いやいや、そんなはずないよ。うーん……)

「やっと鈴花とふたりで話せる」

その目は会議室で視線が交わった時と同じように弧を描いている。

今度は疑いようもなく自分にだけ向けられた笑みだとわかったが、ときめくより困惑の方が強い。

(これってどういう状況?)

「昨日は覚えていないと言ってたけど、どう? 俺を思い出してくれた?」

さらには片手を握られて、手と彼の顔の間に視線を往復させて戸惑っていた。

期待に満ちた目で見られても、記憶の中に超絶イケメンは存在しない。

首を横に振ると、彼が目に見えて落ち込んだ。

「すみません。あの、いつどこで出会っていたのか教えていただけませんか?」

もう少し情報をもらえたら思い出せるかもしれない。

(いや、どうだろう。海崎オーナーの勘違いの可能性の方が高いと思うけど)

すると手を離した彼が拗ねたように言う。

「俺は離れていても片時も鈴花を忘れなかったのに、君は約束をすっかり忘れて他の男との結婚まで考えていた。ひどいだろ。だから教えない。自力で思い出してくれ」

(えーと、これは照れるところ?)

またもや思わせぶりなことを言われて反応に困っていると、彼がフッと表情を和らげた。

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