ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「なんてね。ショックだが、忘れられても仕方ないとは思ってる。大事なのは過去より俺たちのこれからだ。そう思わないか?」

「はい……」

愛想笑いで相槌を打ちつつも、首を傾げたい心境だ。

(俺たちのこれからって、オーナーとスタッフの関係以外にないけど。どこまでが本気でどこからが冗談?)

「鈴花」

やけに真剣な目を向けられて背筋が伸びる。

「俺と結婚してくれ。君は忘れてるけど、過去にそういう約束をしたんだ。守ってもらわないと困る」

(えええーっ!?)

大きな声を上げそうになり、焦って口を押えた。

「無理です。こんな私が断るなんて大変失礼だとは思うんですけど、私にすると昨日が初対面なんです。よく知らない方との結婚はできません」

「もっと俺を知れば、結婚してくれるということ?」

「そ、その可能性はありますが……」

(なんで私が上から目線で断ってるの? おかしいよ。この世の価値観、逆転しちゃってる? というか、近い。接近しすぎだよ!)

鈴花の方にじりじりと顔を寄せてくるから、拳三つ分の空白しかない。

(出会って二回目の距離じゃない。あ、海崎オーナーにとっては過去に結婚の約束をした深い仲なのか。でもそれ、勘違いだから!)

さらに近づいてくるのでのけ反るように距離を取る。

「待ってください。まずは私に海崎オーナーのことを教えてください!」

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