ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「もちろん。鈴花に会うためにホテルの経営権を買ったのに、離れては意味がない」

(冗談……よね?)

彼にふざけている雰囲気はないが、そう思わないと新しい恋を期待してしまいそうだ。

(落ち着いて。イケメン実業家が私なんかに本気になるわけない。あとできっと人違いだったっていうオチがあるはずだよ。でも――)

目を合わせると、甘くきらめくアーモンドアイが嬉しそうに弧を描いた。

鼓動が耳元で鳴り始めると、心の中でふたりの自分が意見をぶつけ合う。

(人違いでもいいじゃない。結婚してくれと言うんだから、OKしちゃえば?)

(ダメダメ、出会ったばかりで交際ゼロ日婚なんて普通に考えてありえない。結婚は遊びじゃないんだから、現実的に考えないと)

見つめ合っていると顔が火照ってのぼせそうになり、慌てて手元に視線を落とした。

目の前には出されたばかりのラム肉のローストがあり、小さめに切ってせっせと口に詰め込む。

「鈴花は可愛いな。夢中で食べている姿はまるでハムスターだ」

(私が可愛いハムスター? 豚と狸になら例えられたことがあるけど)

「まだ食べられるよな? 追加注文しよう。ジビエが気になる。ホテルのレストランでも北海道らしいジビエ料理を考えてみたいんだ」

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