ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
学年ごとに一クラスしかなく、二十人しかいないクラスメイトの顔と名前は今でも全員覚えている。

校舎と校庭、小学校はどこも似たような造りをしているから、懐かしく感じるのだろうと納得した。

小学校の横を通り過ぎ、しばらくして右折すると鈴花の住むアパート前に着いた。

よくある外階段が付いた二階建てのアパートで、間取りは2DKの単身者用だ。

築十年ほどでこの辺りでは比較的新しく、二階の一部屋以外の七戸が埋まっている。

「今日はご馳走様でした。とても楽しかったです」

胸の高鳴りを押さえるのが大変だったが、本心だ。

ジビエの話で盛り上がり、ほろ酔いも手伝って現状のレストランメニューについて意見することができた。

タクシーを降りた鈴花は、後部席の窓を全開にした海崎に深々と頭を下げた。

「また明日。おやすみ、鈴花」

「おやすみなさい」

タクシーが車線のない道路をゆっくりと走り出し、鈴花はアパートの方へ振り向いた。

今にも電球が切れそうな外灯がひとつあるのみで薄暗い。

一階の103号室のドアへ向かって歩き出した二歩目で足が止まった。

「遅い。帰りに寄るって言っただろ」

隆矢がポケットに手を突っ込みながら、じりじりと近づいてくる。

「ずっと待ってたの? 私は来ないでって返したのに」

「知るか。なにおしゃれしてんだよ。タクシーに乗ってたやつ、まさか昨日の男か?」

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