ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「そうだよ。勤務先の新しいオーナーだったの。ふたりで食事をして送ってもらったところ」

もう別れているのだから、誰と出かけようと文句を言われる筋合いはない。

けれども隆矢はそう思っていないようで、怖い顔で正面に立たれた。

「同世代でホテルオーナー? 本当か嘘か知らないけど、騙されんな。あの顔でお前を相手にするなんておかしいだろ。オチは美食に飽きてゲテモノが食いたくなっただけの遊び人か、その気にさせて振るのが好きな最低野郎ってとこだろ」

「最低なのは隆矢でしょ。海崎オーナーはそんな人じゃない」

「昨日、出会ったばかりのやつのなにがわかるって言うんだよ」

隆矢が言うような男じゃないと説明できる根拠がなく、言い返せない。

(でもわかるよ。話していて真面目さが伝わってきたもの。私にプロポーズしてくれたのもからかってやろうとかじゃなく、きっと人違いをしているだけで……)

せっかく楽しい気分で帰宅したのに、浮かれているのが恥ずかしくなりテンションが急降下した。

「自分でもわかってんだろ。お前なんかと結婚してやれるのは俺だけだ。戻ってこい」

差し出された手をじっと見つめた。

(この手を取らないと誰とも結婚できないかも。それでも――)

「隆矢だけは絶対に嫌」

きっぱりと断った直後に誰かの走る足音がして突然、腕を強く引っ張られた。

「きゃっ!」

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