ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
ラウンジカフェの営業時間は六時半から二十一時半までで、シフトは二交代制だ。

ちょうど昼時のこの時間は忙しく働いているか、まだ出勤していないかのどちらかのはずである。

(まぁいっか)

さほどの興味はなく、三つ隣のロッカーで制服に着替えをした。

最後に襟にスカーフを巻いていると、シュッと音がして強烈な甘い香りが漂ってきた。

(うっ……香水? つけすぎだよ)

「完璧」

語尾にハートマークがついていそうな声で呟いた怜奈が、ロッカールームを出ていった。

たまらず窓を全開にして、換気しながら不思議に思う。

香水はごく控えめにというのがホテルスタッフの常識で、これまでは彼女も守っていたと思うのだが。

(なんか気合い入ってたけど、なにがあるんだろう)

その答えはすぐにわかる。

身支度を終えた鈴花は廊下に出て、オーナー室へ向かう。

するとそのドアをノックしている怜奈がいて、数メートル後ろで足を止めた。

(海崎オーナーに呼び出されてたのかな?)

そうだとすれば、順番待ちしなければならない。

部屋の中から応答があり、彼女が名乗るとドアが開いた。

廊下に顔を出した海崎に、怜奈がとびきりの笑顔で一礼する。

「おつかれさまです。こちら、ラウンジカフェからの差し入れです。海崎オーナーの昼食にしてください」

怜奈が差し出したのはおしゃれな紙袋だ。

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