ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「みゆは十八なんだ。東京だと三十の俺は相手にされないけど、こっちだとアリみたいでさ。やっぱ若い子はいいよな。肌の張りも違うし」

(誰と比べて?)

「お前と一緒にいるのは気楽でいいけどさ、満足できないんだよな。その体、なんとかならない?」

思わずワンピースの上からお腹の肉を摘まむ。

百五十五センチ六十キロのぽっちゃり体形で、子供の頃から痩せたことはない。

隆矢が初めての恋人で恋愛経験は少ないが、友人はたくさんいて体形を気に病んだことはなかった。

(太ってるのが嫌だったんだ。それは私も悪かっ――いや、ちょっと待って。だったら初めからつき合わないでしょ)

危うく自分を責めるところだったが、どう考えても悪いのは隆矢だ。

「婚約をなかったことにしたいの?」

怒りをこめて問いかけた時、ドアベルがカランコロンと音を立て男性のひとり客が入店した。

とことん文句を言いたいところだが、声のボリュームには気をつける。

「別れたいならそう言って」

コーヒーカップに口をつけた隆矢が、まずそうに顔をしかめた。

「結婚はしてやるよ。親がさ、東京に戻れってうるさいんだよ。地元民のお前と結婚すれば、帰らない理由になるじゃん」

(えっ、そのために私と結婚するの?)

都会より田舎町が好きだという気持ちは結構だが、わざわざ言わなくていい事情まで明かしてなにがしたいのか。

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