ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
(私を傷つけて楽しい?)

「だからさ」

隆矢がコーヒーカップを置いてニヤッとした。

「オープンマリッジでどう? 俺は堂々と遊べるし、お前にもメリットがある。俺を逃したら一生独身のままだろうからな」

(バカにしないでよ!)

と言ってやりたいところだが、出会いの少ないこの町でぽっちゃりでもいいと言ってくれる男性が現れるかは疑問だ。

(どうしよう。将来的に子供だってほしいし結婚はしたい。でも隆矢と結婚して幸せになれる……? 無理でしょ)

彼を好きだったはずなのにこの数分で恋心が氷点下まで冷え、代わりに悔しさと怒りが胸の中を渦巻いている。

別れるしかないと決めた時、カウンターに座っていた男性客が立ち上がり、なぜかこっちに向かってきた。

テーブルの横で足を止めた彼の顔を見上げたが、知り合いではない。

年齢は同じくらいだろうか。スラリと背は高く黒に近いダークブラウンの髪に同じ色のアーモンドアイ。顔立ちは恐ろしく整っていて、お洒落なジャケットがよく似合っている。

田舎の寂れた喫茶店にいそうにない都会的な雰囲気の彼に見つめられ、ゆっくりと首を傾げた。

(どちら様?)

隆矢に視線を向けると首を横に振られたので、彼の知人でもないようだ。

(うるさかったのかも)

声のボリュームには気をつけていたつもりだが、眉間に皺を寄せているので文句があるのだろう。

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