ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
そのあとは人差し指で頬を掻き、なぜかバツが悪そうな顔をした。

「鈴花の気持ちはわかった。できるかぎり希望を叶えたいと思う」

(本当に? 言ってよかった!)

「だが、すまない。婚姻届は昨夜のうちに役所の夜間受付に提出したんだ。今頃は受理されているはず。つまり、鈴花はもう俺の妻だ」

「ええっ!?」

証人欄も昨夜のうちに知人に頼んで書いてもらったそうで、速すぎる行動に目の玉が飛び出しそうになった。

(嘘でしょ)

衝撃を受けて固まっていると、両手を握られる。

「俺が長年、想い続けていた女性は鈴花だ。人違いではないと断言する。それだけは信じてほしい」

(そう、なのかな……)

真剣な目を見ていると、信じてみたくなる。

「俺にとっては長い時間をかけてやっと結婚できたという心境なんだが、思い出を忘れてしまった君がこの結婚を早すぎると戸惑う気持ちもわかる。ひとりで提出してすまなかった」

頭を下げられて慌てる。

「いえ、そんな。私の方こそ、サインしておきながら迷ってすみません」

出してしまったものは仕方ないと割り切るしかない。

その上で今後どうすれば、自分の希望に近づけるのかを考えた。

「提案なんですけど、すぐに一緒に住まずに交際中のような期間を設けていただけませんか? それがあればこの戸惑いも薄らぐと思うんです」

いきなり同居は抵抗がある。

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