ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「うるさくして、すみませ――」

「勝手に他の男と婚約するなよ。俺と結婚する約束だろ?」

なにを言われているのかを理解するのに三秒ほどかかってから、「えっ?」と戸惑いの声を漏らした。

(こんなイケメンさん、知らないけど。からかっているような雰囲気じゃないし、どういうこと? あっ、ひょっとして助け舟のつもり?)

隆矢の発言がひどすぎたから、同情して味方についてくれたのかもしれない。

一矢報いる手伝いを買って出てくれたのだと理解してその優しさには感謝したいが、超絶イケメンに結婚の先約があると言われても冗談にしか聞こえない。

案の定、隆矢が鼻で笑った。

「ヒーロー気取り? そんな嘘に騙されるかよ。見ての通り、こいつは男にモテないから。というか、あんた誰?」

「あの、私は大丈夫です。見ず知らずの私にお気を使わせてすみませんでした。これ食べ終えたら帰りますので、どうぞお席に戻ってください」

器に半分ほど残っているクリーム餡蜜を急いでかき込むと、彼が眉間の皺を深めた。

「俺のこと、覚えてない?」

「知り合いじゃないと思いますけど……」

(本気で誰かと勘違いしてる? でも、婚約者を他人と間違えるわけないか)

モデル並みに容姿端麗な彼の婚約者が、地味顔でぽっちゃり体形の自分に似ているはずがない。

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