ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
思わず神山と顔を見合わせた時、黒服の男性がバックヤードからスッと現れた。海崎だ。

いつもは自前のスーツ姿なので一瞬、誰かと思ってしまった。

まっすぐに怒っている男性客のもとへ向かい、対応してくれる。

「お待たせしており、誠に申し訳ございません。お急ぎのご様子ですが、差し支えなければご出発のお時間を伺ってもよろしいでしょうか?」

「すぐに出たい。外にタクシーを待たせているんだ。寝過ごしてしまって飛行機の時間が迫っている」

「かしこまりました」

海崎がフロントのパソコンを確認し、すぐにお客様のもとへ戻る。

「ご精算はお済みでしたので、こちらにサインのみいただいてチェックアウトは完了でございます」

「よかった。間に合いそうだ。ありがとう」

「お荷物、タクシーまでお運びします」

ベルボーイに荷物を預けた海崎がカウンターに戻ってきた。

「清算済みのお客様のチェックアウトは簡略してくれ」

「了解しました」

リストアップした部屋番号を手早くメモした彼は待たせていることをお詫びして回りながら、清算がないお客様にはサインだけもらって見送った。

すると列の長さは半分以下になり、待っているお客様の心にも余裕が出たようだ。

(臨機応変でスマートな対応。見習わないと。ホテル業務は未経験のはずなのに、譲はすごいな。あとでお礼を言わないと)

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