ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
プライベートでは彼を譲と呼んでいるが、まだ慣れない。

心の中でさえ、その名を呼ぶたびに鼓動が二割増しで高まる。

(交際を始めて十日くらいだから、仕方ないよね)

日は浅いが休みの日に高台のレストランにもう一度行き、仕事終わりには鈴花のおすすめのラーメン屋とジンギスカンの店で食事デートをした。

夫婦になったのに、要望を聞いて清らかな交際から始めてくれる彼に感謝している。

(譲に負けてられない。私も頑張らないと)

十時を少し過ぎてしまったが、なんとかすべてのお客様のチェックアウトが終了してホッとした。

「おつかれさま」と加藤に声をかけると、頭を下げられた。

「僕が色々質問したせいで遅くなってすみません」

「大丈夫だよ。わからないまま適当に流されると困るから、質問してくれてありがとう。研修通りの対応はできていたと思うし、自信を持って。あとは場数を踏んで慣れていこう」

「はい!」

「さて、次は宅配便を片づけようか」

宅配便を利用したい客の荷物の預かりも行っている。

伝票を貼った荷物はカウンター裏のラックに置いてあり、それをバックヤードに持っていく。

(そんなに多くないから、すぐに終わる)

神山が今、パソコン前で清算忘れがないか最終チェックしているので、鈴花と加藤とベルボーイの三人で運ぶ。

するとお客様を外まで見送って戻ってきた海崎の手が、鈴花の荷物にのびた。
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