ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「先ほどはありがとうございました。お荷物運びは私たちの仕事ですので、海崎オーナーはどうぞお戻りになってください」
フロント業務を手伝ってくれただけで申し訳ないのに、荷運びまでさせられない。
「すぐに終わりますし」と付け足し、大きな黒いバッグを持ち上げようとして驚いた。
(なにこれ。すごく重い)
伝票を見ると、米二十キロと書かれていた。
地元の野菜や特産品を売っている道の駅が割と近くにある。
米もきっとそこで購入したものだと思うが、なぜホテルから送るのか。
(道の駅でも配送やってるって知らなかったのかな)
足に力を入れて持ち上げようとしたその時、海崎が隣に立った。
「代わって。これは君には無理だ」
重さを感じていないような顔でバッグを持ち上げた彼に目を丸くする。
「ありがとうございます」
「杏野さんが優秀なのはわかっているが、力仕事は男性に任せた方がいい。体を痛める」
「はい……」
今まで力仕事を代わると言ってくれた男性職員はいなかった。
筋肉ではなく脂肪なのに、肉の厚みで力がありそうに見えるのかもしれない。
突然の女性扱いに頬が熱くなる。
(なんか嬉しい)
くすぐったい喜びを味わっていると、「お手伝いします」と後ろに声がした。
「わっ!」
ドンとぶつかってきた女性は怜奈だ。