ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「個人的に杏野さんは痩せる必要ないと思います。癒し系で可愛いので」

(えっ、まさか加藤くんまで!?)

ぽっちゃり地味顔の自分にもモテ期が到来したのかと驚いたが、加藤の褒め言葉には続きがあった。

「ゆるキャラっぽいんですよね、杏野さん。中に人が入ってそうな感じがします」

(そういう意味の癒し系ね……ん?)

ふと視線を感じて振り返る。

バックヤードに繋がるドアが数センチ開いていて、海崎が不愉快そうな顔でこっちを見ていた。

(焼きもち……!?)

ただの隣人へのカレーの差し入れにも嫉妬していたのを思い出し、慌てて加藤に言う。

「ゆるキャラって可愛くて癒されるよね。わかる、わかる。私なら、豚か狸のキャラかな」

「僕はフグを想像してました」

「フグ! 丸い生物には色々例えられたけど、それは初めて」

チラッと振り返ると、海崎はもう覗いていなかった。

加藤を守れたことにホッとして、息をつく。

(嫉妬深いところがあるみたい)

「杏野さん、どうかしましたか?」

「ううん。カウンターお願いね。清掃ミーティングに行かないと」

刺激しないように気をつけようと思いつつ、バックヤードへの扉を開けた。



昼休みになり、ランチバッグを手にいつものベンチへ向かう。

空はよく晴れていて、気持ちのいい気候だ。

今日も先にベンチに座っているのは真紀ひとりだった。

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