ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
助け船はもういらないという目で見ると、なぜかショックを受けたような顔をされた。

「俺は海崎譲(カイサキジョウ)。本当にわからない?」

(聞いたことあるような、ないような……うーん、やっぱりない)

首を横に振ると、彼が嘆息した。

「思い出してもらうのは後回しにして、今は確認が先だな」

「なんの確認でしょう?」

「その男とは別れるんだよな?」

片手をテーブルについた彼にきれいな顔ですごまれ、面食らう。

「なんなんだよ。部外者が口出してくんな」

怒り出した隆矢がこっちに向けて顎をしゃくる。

「お前もなにか言ってやれ」

(なにか? 私が言いたいのはこれだけだよ)

「隆矢とは別れる」

「は……? 真に受けて、この男に結婚してもらえると思ってるのか?」

「違うよ」

「だったらなんで。浮気くらい男なら誰でもするだろ。俺と別れたらお前、一生独身だぞ」

「それでもいい。大切にし合えない関係は私には無理だよ。隆矢とは結婚できない」

隆矢が目を見開いた。オープンマリッジを鈴花が受け入れると本気で思っていたなら、随分と舐められたものだ。

(女のプライドとかそんなのはないけど、愛されていないのに結婚はできない)

改心してくれるならと少しだけ思ったが、舌打ちした隆矢が席を立って退店し期待は砕け散った。

(これで終わりか……)

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